こたつモラトリアム

できることなら永遠にここで暖をとっていたい

揺らぐことのない安心が欲しい

 

気がついたら7月が終わっていた。いつもとは違う社会の情勢が時の流れの感じ方まで加速させているのか、それとも元々これぐらいの速さだったか。どっちだったっけな。

7月は雨が多かった。どうやら梅雨が長引いているらしい。聞くところに拠ると、観測史上初めて台風がゼロだったとか。"2020年” は遺憾無く自らの個性を発揮している。他の年と同じ、でも別に悪いことはないと思うんだけど、やっぱりキリの良い数字だから気合入ってんのかな。次にこの揃い方になるのは3030年、1010年後だもんな。

 

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雨が多いから、という訳ではないが、最近はこんな本を読んでいる。

「雨の自然誌」。大学の図書館で物色している時に、装丁に目を惹かれて手に取った。私が一番好きな青はポカリスエットの青なのだが、この本の青もなかなか悪くない。

雨にまつわるあらゆる逸話がこの一冊に詰め込まれている。逆に、雨と面識が無い文章たちはこの本の中に入れないらしい。その徹底された門前払いっぷりが面白くて、レポートの課題図書の合間を縫って読んでいる。

 

ブラッドベリはただ雨が好きだったのだ。雨は、お気に入りのウールのセーターのように、彼の憂鬱な気分に似合った。《中略》ブラッドベリは夕立に降られて気にする事はなかった。そして八〇年にわたって日々執筆をつづけるなかで、タイプライターのキーからポツンポツンと打たれる雨だれは、数多くの短編になり、本となっていった。』

 

冒頭の一節である。この如何にも翻訳書らしい、外国語っぽい言い回しがいいよね。読み切るのにもう少し時間がかかりそうだけど、楽しみな読書の一つだ。

 

 

 

特別に落ち込むことなく生活している。きちんと3食たべない日が多いし、将棋部のことは嫌いになったけど、そのぶん読書や散歩が私の生活を支えてくれている。多趣味でよかった。

ただ、時々安心感が欲しいと思ってしまう。ここにいてもいいと思える安心感。自分の体を全部預けてしまっていいと思える安心感。そういう揺らぐことのない安心感に縋りたいと思ってしまう。欲しいなら欲しいと手を伸ばせばいいのに、誰かが持ってきてくれる奇跡を待っている私がいる。そういうのはあまりにも都合がいいし、ずるいな。

 

 

 

バイト先とのコミュニケーションがあまり上手くいっていない気がする。

アルバイトのボランティア的な意識に訴えかける傾向が強くなってきた気がしていて、たぶん私はそこに違和感を覚えている。短期的に、応急処置のように、アルバイトの業務範囲が広がってしまうのは仕方が無いと思う。でも、それが前提になってしまうのは長期的に見て良くないのではないか。

だからあまりタスク(仕事と呼ぶほどのものではない)を引き受け過ぎないようにしているのだけれど、もう少し自発的に動いてほしいらしい。いっそ全部の業務を抱え込んでしまった方が早いんじゃないかと思うこともあるけど、たぶん私はそういうことをしようとすると過度に自分の生活を犠牲にしてしまう。

 

 

 

私の感覚が間違っているのかもしれない。けれど、確かにすれ違っていると思う。そしてその原因の一つは、私が言葉にしていないからだろう。私の気持ちを汲み取ってくれることを期待しているからだろう。その期待が叶わないとわかったなら、私がすることは一つ、ちゃんと言葉にして伝えることだ。バイト先にも、将棋部にも。8月はそういう月にできたらいいな。

 

 

 

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セブンのドーナツおいしいね

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逆転裁判たのしいね



 

 

 

  

窓を開けて寝ることが多いので、雨の音で目を覚ます日がままあった。雨の音は、屋外で耳にすると鬱陶しく思うのだけれど、屋内で聴くと何故だか落ち着く。ベランダに干したバスタオルを取り込んでから、再びベッドで横になる。サァーッ…という広がりを持った響きに目を閉じると、束の間の安心を感じることができた。